自己位置推定

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前回の演習では、オドメトリを用いてロボットを制御しました。

1m進むや、90度右回転などある程度正確に動いたかと思います。 しかし、これが数10m前進や、数分間動き続けた時にロボット自身は自分がスタートの時からどのくらい動いたかわかるでしょうか。

ルンバが用いているホイールオドメトリは、ホイールの回転量を積算することで算出しています。ホイールが滑った場合だけでなく、センサの僅かの誤差の積み重ねで徐々にずれていってしまいます。

そこで今回は、オドメトリ情報だけでなく、地図とLiDARスキャン情報も同時に使いながら、ロボット自身の尤もらしい位置を推定していきましょう。

ROSにおける座標系の扱い方(TF)

まずは、ROSにおける座標系の扱い方についてみていきましょう。 ロボットシステムは、いろいろな座標系を使って位置姿勢を表現することが多いです。

  • ロボットの座標系
  • センサの座標系
  • ロボットの関節の座標系
  • 部屋の座標系
  • 物体の座標系
  • ・・・・

このような座標系同士を繋げてロボットシステム上での座標系の管理をしてくれるROSのモジュールとしてtfがあります。 tfは、各座標系をツリー上で繋げます。従って、親の座標系が複数あることは許されません。

今回自己位置推定するにあたり用いる座標系の関係は以下のようになります。

rosrun rqt_tf_tree rqt_tf_treeとしてみると、tfのツリー形状を可視化することができます。

tfツリーをrqtで可視化
tfツリーをrqtで可視化

ここで、odom座標系は、オドメトリの算出を始めた位置(起動した位置)を原点とした座標系で、ホイールオドメトリの値から、ロボットの基準となるbase_footprint座標系を繋げています。 base_footprint座標系の下には、ルンバロボットの構成要素である、センサ類やホイールなどの座標系が子として繋がっています。

一番親にいるmap座標系は、地図の原点を基準とした座標系ですが、この座標系におけるロボットの座標系(base_footprint)を繋げることが、自己位置推定の目的になります。 しかし、base_footprintの親には既にodomがいるため、map座標系とodom座標系を繋げることで、全体をひとつのツリーとして管理することができます。

自己位置推定

自己位置推定は、地図が事前に与えられていて、そこのどこにロボットがいるかを逐次的に外界センサ(LiDAR)と内界センサ(Odometry)を用いて推定していく手法になります。

ヒストグラムフィルタやカルマンフィルタ、パーティクルフィルタなどいくつかの手法が存在し、 それぞれメリットデメリットがありますが、ここでは代表的なパーティクルフィルタを用いた手法を紹介します。

自己位置推定では、観測モデルと状態遷移モデルを交互に繰り返すことによって、ロボット自身がどこにいるかの確率分布を更新していくことで自己位置推定をしていきます。

パーティクルフィルタでは、この確率分布を大量の粒子を用いて表現する手法になっていて、各粒子が位置とそこにロボットがいるであろう確率(尤度)を持っています。

ロボットが動くごと(オドメトリが更新されるごと)に、状態遷移モデルを用いて各粒子の位置情報を更新します。 この時、一般的に分布は広がります。(人間が目を閉じて歩いたらどこにいるか分かりづらくなるのと同じ)

外界の情報がわかるごと(スキャン情報が更新されるごと)に、観測モデルを用いて各粒子の尤度を更新します。 尤度は、各粒子の位置から観測できるであろうスキャン情報と、実際のロボットで取得したスキャン情報との差から算出します。

Monte Carlo Localization(Particle Filter) Dieter Fox et al. 1999, using sonar. http://www.doc.ic.ac.uk/~ajd/Robotics/RoboticsResources/montecarlolocalization.gif
Monte Carlo Localization(Particle Filter) Dieter Fox et al. 1999, using sonar. http://www.doc.ic.ac.uk/~ajd/Robotics/RoboticsResources/montecarlolocalization.gif

launchファイルとrosparam

自己位置推定では、初期位置がどこか、レーザーのスペックや、パーティクルの数など数十個のパラメータを保持します。

これらをプログラム内部で記述するのではなく、launchファイル内で指定することが可能です。 rosでは、rosparamという形でパラメータを管理することが可能です。

以下に、今回用いるamcl.launch を示します。 launchファイルはxml形式で記述され、paramを指定すること以外にも、 launchファイル実行時に引数で指定可能なargや、トピック名などのリマップをすることも可能です。

launchの詳しい書き方は、rosのドキュメントを参照してください。

<?xml version="1.0"?>
<launch>
  <arg name="use_map_topic" default="true"/>
  <arg name="odom_topic" default="/odom" />
  <arg name="scan_topic" default="/scan" />

  <node pkg="amcl" type="amcl" name="amcl" output="screen">
    <remap from="scan" to="$(arg scan_topic)"/>    
    <remap from="odom" to="$(arg odom_topic)"/>    
    <param name="use_map_topic" value="$(arg use_map_topic)"/>

    <param name="initial_pose_x" value="0.0"/>
    <param name="initial_pose_y" value="0.0"/>
    <param name="initial_pose_a" value="0.0"/>
    <param name="initial_cov_xx" value="0.1*0.1"/>
    <param name="initial_cov_yy" value="0.1*0.1"/>
    <param name="initial_cov_aa" value="0.3*3.14"/>

    <param name="gui_publish_rate" value="10.0"/>

    <param name="laser_max_beams" value="2.0"/>
    <param name="laser_min_range" value="0.15"/>
    <param name="laser_max_range" value="12.0"/>
    <param name="laser_z_hit" value="0.8"/>
    <param name="laser_z_short" value="0.1"/>
    <param name="laser_z_max" value="0.1"/>
    <param name="laser_z_rand" value="0.1"/>
    <param name="laser_sigma_hit" value="0.2"/>
    <param name="laser_lambda_short" value="0.1"/>
    <param name="laser_model_type" value="likelihood_field"/>
    <param name="laser_likelihood_max_dist" value="2.0"/>

    <param name="min_particles" value="100"/>
    <param name="max_particles" value="1000"/>
    <param name="kld_err" value="0.0"/>
    <param name="kld_z" value="0.0"/>
    <param name="update_min_d" value="0.1"/>
    <param name="update_min_a" value="0.1"/>
    <param name="resample_interval" value="1"/>
    <param name="transform_tolerance" value="0.2"/>
    <param name="recovery_alpha_slow" value="0.001"/>
    <param name="recovery_alpha_fast" value="0.1"/>

    <param name="odom_frame_id" value="odom"/>
    <param name="odom_model_type" value="diff"/>
    <param name="odom_alpha1" value="0.2"/>
    <param name="odom_alpha2" value="0.2"/>
    <param name="odom_alpha3" value="0.2"/>
    <param name="odom_alpha4" value="0.2"/>
    <param name="odom_alpha5" value="0.2"/>

  </node>

</launch>

演習

【jetson・開発マシン】それぞれdockerコンテナを起動

jetsonでdockerコンテナを起動

(開発PC):~$ ssh roomba_dev1
(jetson):~$ cd ~/group_a/roomba_hack
(jetson)::~/group_a/roomba_hack$ git pull 
(jetson):~/group_a/roomba_hack$ ./RUN-DOCKER-CONTAINER.sh
(jetson)(docker):~/roomba_hack# roslaunch roomba_bringup bringup.launch

開発PCでdockerコンテナを起動

(開発PC):~$ cd ~/group_a/roomba_hack
(開発PC):~/group_a/roomba_hack$ git pull
(開発PC):~/group_a/roomba_hack$ ./RUN-DOCKER-CONTAINER.sh 192.168.10.7x

gmappingで地図作成

(開発PC)(docker) roslaunch navigation_tutorial gmapping.launch

地図の保存。map.pgm(画像データ)とmap.yaml(地図情報)が保存される。

(開発PC)(docker) rosrun map_server map_saver

~/roomba_hack/catkin_ws/src/navigation_tutorial/map の下に保存する。

amclをlaunchして、自己位置推定する

localizationノードと地図サーバーを同時に起動。

(開発PC)(docker) roslaunch navigation_tutorial localization.launch
(開発PC)(docker) roslaunch roomba_teleop teleop.launch
(開発PC)(docker) rviz -d /root/roomba_hack/catkin_ws/src/navigation_tutorial/configs/navigation.rviz
  • 初期位置の指定(rvizの2D Pose Estimate)
  • コントローラで移動させてみて自己位置を確認
  • rqt_tf_treeを見てみる

amclのparamをチューニングする

launchファイルの中身を見てみて、値を変えてみる。

各パラメータの意味はamclのページを参照。

例えば、・・・

  • initial_cov_** を大きくしてみて、パーティクルがちゃんと収束するかみてみる。
  • particleの数(min_particles、max_particles)を変えてみて挙動をみてみる。

launchファイルの拡張

localization.launchファイルに以下を追加してteleop.launchとrvizが同時に起動するようにしてみよう。

<!-- teleop.launchを起動-->
<include file="$(find roomba_teleop)/launch/teleop.launch">
</include>

<!-- rvizを起動-->
<node pkg="rviz" type="rviz" name="navigation_rviz" args="-d $(find navigation_tutorial)/configs/navigation.rviz"/>

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